研 究 業 績 (2001年度)

Research activities after Feb 2001〜Feb 2002.

(***分担著書***)

(***学術論文***)

 

 

著書、学術論文等の名称

単著

共著

発行又は発表の年月

発行所、発表雑誌

又は発表学会等の

名称

 

概      要

(学術論文)

1Age-related changes in wavelength discrimination.

 

 

共著

 

2001年2月

 

 

Journal of the Optical Society of America, A 18 pp.310-318.

(研究論文)

 

 波長弁別関数を420nmから620650 nmまでの波長範囲で若年者と高齢者に分けて測定した。刺激は各被験者ごとに決定された等輝度単色光刺激でありマックスウェル視光学系をもちいて視角2度のバイパータイト視野に呈示された。閾値の決定には,空間的2強制選択法に階段法を組み合わせることによって行い,年齢による判断基準変化の影響を取り除いた。

 結果は,高齢者において若年者に比較して小さいがはっきりした閾値の上昇が見られた。輝度が補正済みであることよりこの変化は,神経回路の変化に帰するべきものである。モデルを用いた分析の結果は赤錐体,緑錐体からの入力を受ける経路においては感度係数(Weber比)の加齢による上昇が見られたが,青錐体経路ではそのような係数の変化はみられなかった。

共著者:Keizo Shinomori, Brooke E. Schefrin, and John S. Werner

 

(***国際・国内会議 論文集(プロシー ディング)発行***

 

 

著書、学術論文等の名称

単著

共著

発行又は発表の年月

発行所、発表雑誌

又は発表学会等の

名称

 

概      要

(国際・国内会議 論文集(プロシー ディング)発行)

1Impulse response functions for a luminous pulse measured as a functionof age

 

共著

 

20013

 

The International Workshop on Gerontechnology (Tsukuba, Japan) [In proceedings of the International Workshop on Gerontechnology, p89, 2001]

 

 人間の輝度刺激応答の時間関数であるインパルス応答関数を16歳から81歳までの34名について測定した。インパルス応答関数は2刺激法による閾値測定結果からモデルを用いて計算した。測定範囲は6.7 msecから180msecである。
  実験結果は,最初の興奮フェーズの持続時間が40から60msecとなり,年齢による差は見いだされなかった。その一方で,インパルス応答関数の強さは,45歳以降は単調に減少した。これは錐体応答の減少を,時間的足し合わせをもって補っているのではないことを示している。

共著者: Keizo Shinomori, and John S.Werner

 

 

(***国際会議*** )

 

著書、学術論文等の名称

単著

共著

 

発行又は発表の年月

発行所、発表雑誌

又は発表学会等の

名称

 

概      要

(国際会議)

1. Age-related change in impulse response functions for a luminous pulse.

 

共著

 

2001年7月

 

First Asian Conference on Vision (The Vision Society of Japan and The Vision Research Group in Korea, Hayama, Japan, July 30-31, 2001), Proceeding in First Asian Conference on Vision, pp.64, 2001

 

 人間の輝度刺激応答の時間関数であるインパルス応答関数を16歳から81歳までの56名について測定した。インパルス応答関数は最小位相の仮定を必要としないモデルを用いて,2刺激法による刺激時間感覚6.7から180 msec までの知覚閾値測定結果から計算した
  実験結果は,最初の興奮フェーズの持続時間が40から60msecとなり,年齢によらずほぼ一定であった。ただし,5人の高齢者の被験者については,例外的に70msec以上の持続時間を示した。インパルス応答関数の強さは,40歳まではほぼ一定で,それ以降は年齢とともに単調に減少した。

共著者:Keizo Shinomori and John S Werner

2. Color discrimination under chromatic adaptation by pre-presented equiluminance stimuli

共著

2001年7月

 

First Asian Conference on Vision (The Vision Society of Japan and The Vision Research Group in Korea, Hayama, Japan, July 30-31, 2001), Proceeding in First Asian Conference on Vision, pp.58, 2001

 

 色順応刺激を用いて赤緑反対色チャンネルが,単一のチャンネルであるか,あるいはサブチャンネルの結合によるものであるのかを調べた。時間的矩形波形状で白と高彩度光の間で変化する等輝度色変化フリッカーを順応刺激として用いた場合の色弁別閾値を測定した。結果は,赤順応の場合でも赤と緑の両方向での白との色弁別が上昇した。  この結果は,赤と緑のサブチャンネルは単一の赤緑チャンネルを形成している可能性を示唆している。

共著者:Yoshinao Fukada and Keizo Shinomori

 

3. Symmetrical elevations in chromatic discrimination thresholds under chromatic adaptation by chromatic flicker between white and one saturated color.

共著

2001年10月

 

OSA/USI satelite meeting (October, 2001)

 色覚は赤緑・黄青反対色チャンネルによって説明されている。そこで赤緑反対色チャンネルにおいて,赤と緑のコンポーネントがどれだけ独立しているかについて調べた。過去の実験で,時間的矩形波形状で白と高彩度光の間で変化する等輝度色変化フリッカーを順応刺激として用いた場合の色弁別閾値を測定したところ,赤順応の場合でも赤と緑の両方向での白との色弁別が上昇した。  ただし,この結果は矩形波状変化により反対の色のOFFチャンネルを順応してしまった可能性が考えられた。そこで今回の実験では,鋸波状のフリッカーを用いて,反対の色のOFFチャンネルへの順応効果を減少させて同様の色弁別の実験を行った。結果は,矩形波状フリッカーとほぼ完全に同じであり,順応刺激の時間的変化の違いによる影響は見られなかった。  これらの結果は,赤と緑のサブチャンネルは互いに独立ではなく,単一の赤緑チャンネルを形成しているか,少なくとも強い相互作用があることを示している。

共著者:Keizo Shinomori and Yoshinao Fukada

 

 

(***国内会議・講演など*** )

 

 

著書、学術論文等の名称

単著

共著

発行又は発表の年月

発行所、発表雑誌

又は発表学会等の

名称

 

概      要

(国内会議)

1.「異なる空間周波数刺激での色インパルス応答関数」

 

共著

 

2002年1月

 

日本視覚学会2002年冬季大会   

[Vision (The Journal of Vision Society of Japan), Vol.14, No.1,p.32, 2002.]

(口頭発表)

        

 

 これまでの研究では,色に対するバンドパス型空間周波数フィルタに相当す る,色の空間周波数チャンネルが存在するかどうか明らかにされていない。そ こで,2刺激光法を用いて,異なる空間周波数における色刺激に対するインパ ルス応答を測定し,その時間特性から色の空間周波数チャンネルを検証した。 色に対する複数の空間周波数チャンネルが存在すると仮定すると,等輝度色刺 激の空間周波数を変えた場合,刺激サイズにマッチした受容野を持つ空間周波 数チャンネルが主に知覚閾値決定に寄与するため,インパルス応答関数の時間 特性が変化すると考えられる。

 実験では,白から2刺激知覚閾値まで純度を変えた赤,緑,黄,青の4色の いずれかをパルス刺激として用い,その空間周波数はGaussian(0.43cpd)から 6cpdまでを採用した。これまでのところ色インパルス応答関数には空間周波数 による影響は見られていない。異なる空間周波数を持つパルス刺激に対する, 色および輝度インパルス応答関数から色に対する空間周波数チャンネルについ て考察する。

共著者:平山 正治・下山孝士・篠森敬三

2.「色の見えにおけるCRTディスプレイの色温度やカラーバランスの影響」

共著

2002年1月

日本視覚学会2002年冬季大会   

[Vision (The Journal of Vision Society of Japan), Vol.14, No.1,p.44, 2002.]

(口頭発表)

        

 今まで恒常性の実験は数多くなされてきたが,ほとんどは照明空間を伴って いた。そこで,照明空間を持たないCRTディスプレイ上の画像だけを見た場合 に,視覚系の色恒常性が抑制されるかどうかを検証した。実験では,暗室内に 1台のPCに接続されたCRTを2つ設置し,左のCRTの色温度を9300K,右の CRTを 6500K (基準)に設定して同じ画像を呈示した。画像は,人が野外で, 灰色枠付きの1つの色票を持っている写真である。画像内の色票上に人工的操 作で任意の基準色を作り,左のCRTの色票が,右のCRTの色票(基準色)と同じ 紙になったと思うまで,左の色票の色(9300K 上)を色相,彩度,明度の全て に調整してもらった。

 実験の結果,赤や黄系の場合には,被験者は6500K上での基準色の色度座標 に,物理的に同じ色度になるように色を調整した。その一方で,黄や緑系では, 6500K上での基準色のRGB蛍光体出力を,そのまま9300Kディスプレイで呈 示した場合の色度座標に合わせた。また,赤紫系の場合では,両者のほぼ中間 の色度座標に合わせた。これは,同一被験者の中で,色恒常性が効いている色 と効いていない色があることを示している。被験者の数を増やして,同じよう な傾向が出てくるか,また個人差によってどのように変化するのかを検証する。

共著者:清水泰智・篠森敬三

3.「ドライビングシュミレーションにおける交差点での判断」

共著

2002年1月

日本視覚学会2002年冬季大会   

[Vision (The Journal of Vision Society of Japan), Vol.14, No.1,p.50, 2002.]

(口頭発表)

        

 交差点での事故が多発しているが,その要因に視覚系情報処理がどのように 関与しているかを調べるため,コンピュータディスプレイ上で交差点付近の状 態を2次元的(平面的)に再現するドライビングシュミレーターを作成し,運 転者の判断の正確さと速さを調べる実験を行った。ディスプレイ上の車が交差 点にさしかかった時に,様々なタイミングで信号を変え,そのときの行動判断 (そのまま交差点を通過するか,あるいは手前で停止するか)とそれに基づく 車の操作,および結果(安全度)を測定した。

 実験データを解析して,信号が黄色になった時の交差点(あるいは手前)に おける車の位置と,得点化した判断の適切さの関係を求めたところ,信号が変 わった時に交差点の手前のある範囲内の距離に車があると,ミスが多くなると いう結果を得た。この結果は,周辺状況を認識し判断するまでにある程度の時 間が必要であることを反映していると考えられる。今後、応答速度を直接測定 して検証を行うとともに,反応速度の速度の個人差やトレーニング効果の違い についても検討していく。

共著者:久武慎也・篠森敬三

4.「外側膝状体以降における色順応効果」

共著

2002年1月

日本視覚学会2002年冬季大会   

[Vision (The Journal of Vision Society of Japan), Vol.14, No.1,p.51, 2002.]

(口頭発表)

        

 色順応については,3種の錐体の選択的な感度変化やそれ以降のレベルにおい ての反対色的な順応の組み合わせにより説明を行なう場合が多い。色順応に関 して多くの実験結果が得られているが,いずれも単眼のみを使っている。そこ で,今回の実験では,右眼への色順応後に左眼での色弁別実験を行なうことで, 網膜より高次な場所,すなわち外側膝状体以降での順応効果を検討した。順応 刺激は,白色とある高彩度色を等輝度で色交替する刺激により与えた。左眼で 測定した白色中心の色弁別楕円が,右眼を順応していない場合または順応して いる場合でどのように変化するかを調べた。

 結果の一例として,白−赤の色交替刺激の場合,どの色方向についても対称 な閾値の上昇がみられた。片眼を刺激することで発生する外側膝状体以降での 順応の影響が,他眼へも伝わっていることが明らかとなった。ただし,同一眼 への順応と同様に,赤緑反対色チャンネルでの赤と緑チャンネルの独立性は示 唆しない結果であった。各色,各被験者のデータをより詳しく検討して報告する。

共著者:梶原 誠・深田良尚・篠森敬三

 

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