私も先輩のようになりたい
私が学部3年生で妻鳥研究室に配属されたとき、研究室には修士の先輩が一人おられました。その先輩は、先生からの厚い信頼を得ているだけでなく、後輩の指導までしっかりとやってくださる方でした。学部当時の私は、勉強は嫌いではありませんでしたが、人とのコミュニケーションが苦手なタイプでした。先輩や周囲の仲間を見て、未熟な自分のままで社会に出るよりも進学して、人と接する上で持つべき考え方や働きかけ方を周りから学びたい、指導していただきたいと考えるようになりました。自分自身の短所を克服したい、尊敬している先輩のようになりたいと思ったことが私の進学のきっかけです。
「学習の孤独感」をなくすために
人が生涯関わりを持つ、「学習・教育」をテーマに研究を行っています。その中でも、近年、通信大学や通信講座、Webテストといった形で提供されている、e-learningと呼ばれる学習方法を対象としています。e-learningではインターネットを使って講義やテストを受けたりするので、学習するために学校に通う必要がなくなり、学習者の年齢や状況に依存せず勉強できるという特徴をもっています。学校の授業のような教室での対面授業では、わからなくなったら先生に質問したり周りにいる友達と相談したりすることができます。しかし、e-learningでは傍に先生や一緒に勉強する友人がいない環境で学習しなければなりません。そこでe-learningの短所を克服し、学習効果を向上させるために「e-learningでの学習の孤独感を緩和するためにはどうしたらいいか?」について、解決のための手法を提案し、有効性の評価を行っています。
院生だからこそある、大きな責任
時間とチャンスがたくさんあったことが、大学院に進学して良かったと思う点の一つです。学生の身だからこそ、失敗を恐れないで気概を持って取り組める環境の中でいろいろなことを経験できる時間が多くあるように思います。また、TAや研究室に居るときに後輩に何かを教える立場として経験したことも強く印象に残っています。私が学部生のときに先輩を頼ったように、頼られる存在でなければならないというプレッシャーが生まれる立場になることが大きかったです。人とも接し方の中でも一番難しい「指導」というものを、数多く求められる立場になることが学部と大学院での最も大きな違いであるように感じました。その反面、良い点を見て、見習いたいという意識を持つことができたのは高知工科大の大学院という場所だからこそだと思っています。