第10回(11月1日)の講義

§7 群・環・体
 [A] 演算をもつ集合

【今日の要点と補足】
 集合 S の上で定義された2項演算および1項演算(単項演算ともいう)とは何かを一般的に説明した。2項演算として,数の集合に対する加法や乗法は非常に分かりやすい。しかし数の演算以外にも種々の演算が定義され,それぞれの分野では重要なものが多い。今回はその一例として,[例3]に説明されている関数を合成する演算について,簡単な例を交えて少し詳しく説明した。合成関数については,実は,講義ノート p.31 で説明されている。
 集合 E から E への関数(つまり,E から自分自身への関数)を一般に E の変換といい,そのような変換全体の集合を Trans(E) と書く。また,集合 E から E への全単射を一般に E の置換といい,そのような置換全体の集合を Sym(E) と書く。
 関数の合成演算 ο は,Trans(E) における2項演算である。すなわち,E の2つの変換 f と g に対して,それらの合成関数 gοf は Trans(E) の要素である。ただし,合成関数 gοf は E の各要素 x に対して (gοf)(x)=g(f(x)) で定められる関数である。
 集合 E が n 個の要素をもつ有限集合であるとき,Trans(E) に属する変換は全部で nn 個あり,Sym(E) に属する置換は全部で n!(n の階乗)個ある。(なぜそうなるかは各自考えよ。)


【今日の宿題】
 E={a, b, c} であるとする。E の置換の例として f(a)=b,f(b)=c,f(c)=a があるが,この置換を f=[b,c,a] と書くことにする。つまり,角カッコの中に a の像,b の像,c の像をその順番に書く。E の置換は次の6個である。
  p1=[a,b,c], p2=[a,c,b], p3=[b,a,c], p4=[b,c,a], p5=[c,a,b], p6=[c,b,a]
このうち,p1 は恒等置換とか恒等写像と呼ばれるもので, idE という記号で表される。添字 E は集合 E の恒等置換であることを示している。
 今日の宿題は,これら6つの置換の合成演算についての演算表を完成せよというものであった。

[1] 例えば,p2οp3=[a,c,b]ο[b,a,c]=[c,a,b]=p5 となる。これは,(p2οp3)(a)=p2(p3(a))=p2(b)=c,(p2οp3)(b)=p2(p3(b))=p2(a)=a,(p2οp3)(c)=p2(p3(c))=p2(c)=b という3つの計算結果から理解できる。

[2] 演算表は次のようになる。

ο

p1

p2

p3

p4

p5

p6

p1

p1

p2

p3

p4

p5

p6

p2

p2

p1

p5

p6

p3

p4

p3

p3

p4

p1

p2

p6

p5

p4

p4

p3

p6

p5

p1

p2

p5

p5

p6

p2

p1

p4

p3

p6

p6

p5

p4

p3

p2

p1


[3] この表の各行・各列にはそれぞれ p1 から p6 がちょうど1度ずつ現れている。


Last modified: Tue Nov 6 09:59:44 JST 2001