第6回(10月18日)の講義

§3 整数
 [F]公約数と公倍数 ... Euclid の互除法
 [H]K進記数法
§4 実数
 [A] 実数の定義と諸法則

【今日の要点と補足】
 まずは,ふたつの正整数の最大公約数を求める(オイラーではなく)ユークリッドの互除法の説明があった。
 講義では途中を省略したが,p.19 にある練習問題Gの [2] (2) を実際に解いてみると次のようになる。ただし,% は剰余を求める演算子である。(p.17 のコメント参照)

GCD(1821, 3282) = GCD(3282 % 1821, 1821) = GCD(1461, 1821)
                = GCD(1821 % 1461, 1461) = GCD(360, 1461)
                = GCD(21, 360) = GCD(3, 21) = GCD(0, 3) = 3

なお,演習問題Gの [2] (3) は各自やってみよ。答は,GCD(36863, 156811) = 191 である。

 K進記数法は通常は略してK進法という。K進法で表記された数を10進法に直す手順,およびその逆に,10進法で表記された数をK進法に直す手順をよく理解しておくこと。
 コンピュータの中では2進法で数値を記憶している。しかし,2進法で数字を表記するとどうしても長くなる。例えば,2001 を2進法で書くと 11111010001 と11桁になってしまう。(log2 2001 + 1 = 11 となることからも確かめられる。)そこで,この2進法で表示された数字を3桁ごとに区切り,2進3桁が8進1桁になることを利用して8進法で表示することも多い。また,2進4桁が16進1桁に対応するので,これを利用して16進法もよく用いられる。上の例の場合,次のようになる。

(2001)10 = (11111010001)2
        = (11 111 010 001)2 = (3721)8
        = (111 1101 0001)2 = (7D1)16

 次は実数の話である。ここまで来ると,除法(割り算)が自由に使えることになる。乗法が定義され,逆数を使って除法を定義するストーリーは次のようになる。
 『実数の世界では,乗法と除法,つまり掛け算と割り算も自由にできる。まず,積の結合法則から乗法における演算の順序は重要ではない。また乗法においては1という実数が特別な役割(積の単位法則)をはたすので,特に1を乗法における単位元という。実数 a の逆数を a-1 と書く。任意の実数とその逆数の積は単位元1になる。実は,任意の実数 a に対して,積が単位元1になるようなものを a の逆数と定義しているのである。実数 b と実数 a の逆数 a-1 の積を b と a の商といい,b÷a と書く。この演算が除法である。』


【今日の Quiz】
 実数の集合の上で演算*を x*y = x + y + 1 と定義する。この演算*の単位元は何か。

[1] このような2項演算が定義されたということは,ふたつの実数が与えられたらそれらの値から演算*で新しいひとつの値を決める法則が定められたということである。(このような演算*がどんな意味を持つかは,ここでは重要ではない。)例えば,4 と 2 からは 4*2 = 4 + 2 + 1 = 7 なので 7 が演算結果としてえられる。2*3 は 6 になるが,これはたまたま 6 になったということで,この演算*は掛け算ではない。

[2] この演算*の単位元を e と仮定しよう。そのとき,単位元はすべての実数 a に対して a*e = a という等式を満たさなくてはいけない。左辺は演算*の定義から a + e + 1 であるから,a + e + 1 = a ということになる。この式がすべての a について成立するのは e = -1 のときである。従って,演算*の単位元は -1 である。

[3] ちなみに,この答が確かに単位元の性質を満たしているか確認してみよう。a*(-1) = a + (-1) + 1 = a であり,(-1)*a = (-1) + a + 1 = a なので,大丈夫である。

[4] 類似問題1:実数の集合の上の演算@を x@y = x + y + xy と定義したとき,この演算@の単位元は何か。(単位元は 0)

[5] 類似問題2:実数の集合の上の演算#を x#y = x2 + y2 と定義したとき,この演算#の単位元は何か。(実はこの演算#には単位元は存在しない!)


【ひとりごと】
 今日の授業で「この講義のホームページを見たことのある人」と言って挙手してもらったら,ほんの数人だけが手を挙げた。実際には見ていても手を挙げない人もいるのだろうけれど,多く見積もっても半分以下のようだ。「よしそれならば,見なければ損をするようにしてやろう...」という多少ひねくれた考えで,今回は類似問題を上に書いた。もちろん,この類似問題を試験に出すぞ...と言っているのではありませんので,念のため。


Last modified: Wed Oct 24 10:07:12 JST 2001