第9回(10月30日)の講義

◎ 演習問題 pp.7-8 §6 を配布

§6 関数と関係
 [C] 順序関係
 [E] 同値関係

【今日の要点と補足】
 集合 S の任意の要素 a と b の間に,ある定められた条件(これをここでは関係 R と呼ぶ)が成立するとき,a と b は関係 R にあるといい,そのことを関係と同じ記号を用いて aRb と表す。よく使われる関係については,特別な記号が用意されている。
 例えば整除関係の話では:正整数の集合を S とし,正整数 a が正整数 b の約数であるとき a|b と書くという約束になっていた。
 上の整除関係は,関係が成立するかどうかを“a が b の約数である”と簡潔に表現できているが,条件を簡潔に表現できることは必ずしも要求されていない。関係があるかないかがはっきり定められていればよい。
 例えば,S={a, b, c, d, e} として,S×S の部分集合 G={(a,a), (a,c), (b,c), (b,d), (c,b), (d,e)} を考えよう。(x,y) が集合 G の要素であるとき,かつそのときに限り xRy であるとして関係 R を定義することもできる。(ただし,ここで定義された関係 R は反射法則・推移法則・反対称法則・対称法則・比較可能性のどの性質も満たさない。)

 反射法則・推移法則・反対称法則をすべて満たす関係を特に『順序関係』という。大小関係や整除関係,および集合における包含関係は順序関係の例である。
 比較可能性が成り立つ順序関係(従って,この関係は反射法則・推移法則・反対称法則・比較可能性をすべて満たす)を特に『線形順序関係』あるいは『全順序関係』という。大小関係はこの例である。
 順序関係を図で表現する方法として Hasse の図式がある。講義ノートの練習問題[D]や,今日配布した演習問題で Hasse の図式を描く練習をしておくこと。

 反射法則・推移法則・対称法則をすべて満たす関係を特に『同値関係』という。
 集合 S において同値関係 R が定義されているとき,この同値関係 R を利用して,集合 S の要素をいくつかの部分集合に分割できる。それぞれの部分集合を同値類と呼び,それらの同値類を集めたものを R から定まる商集合という。講義ノートに書かれている例をよく読んで理解して欲しい。


【練習問題[D]の [2]】
 E={a, b, c} とする。包含関係をもつ順序集合 2E の Hasse の図式を書け。

[1] まず,2E が何か分からなければ講義ノート p.6 を復習せよ。これは集合 E のベキ集合であり,2E={φ, {a}, {b}, {c}, {a,b}, {b,c}, {c,a}, {a,b,c}}。

[2] 空集合φはすべての集合の部分集合になるので,Hasse の図式ではφが一番下に描かれる。一番上には集合 E すなわち {a,b,c} がくる。

[3] 空集合φと直接結ばれるのは,ひとつだけの要素を持つ {a},{b} および {c} である。{a} と直接結ばれる,{a} より上にあるものは {a} に新しい要素をひとつだけ加えたものであり,それは {a,b} と {c,a} である。(なお集合とは,それに属している要素が何であるかが重要であり,その中での順序は特に指定されていないので,集合 {c,a} と {a,c} とは同じ集合である。)

[4] あとは自分で考えよ。各部分集合の位置をうまく調整すると立方体の立体図のように描くことができる。


【質問のある人集合!】
 11月2日(金) の午前9時半から10時半まで,A107教室(の予定)で質問を受け付けます。中間試験の勉強をしていて分からないところが出てきたら,この時間に質問に来てください。


Last modified: Wed Oct 31 12:30:03 JST 2001