第14回(7月23日)の講義

-最終試験の解答と解説-


1.5個の頂点と4本の辺からなる連結なグラフをすべて書け。

[解答] そのようなグラフは3つある。頂点の名前を A, B, C, D, E とする。
 グラフ1の辺集合:{{A,B}, {B,C}, {C,D}, {D,E}}
 グラフ2の辺集合:{{A,B}, {A,C}, {A,D}, {A,E}}
 グラフ3の辺集合:{{A,B}, {A,C}, {A,D}, {D,E}}

[解説] この問題では,同形なグラフを解答しても一つ分しか配点しない。


2.どのようなグラフにおいても,奇頂点は必ず偶数個であることを証明せよ。

[解答] すべての奇頂点の次数の総和を x,すべての偶頂点の次数の総和を y とする。すべての頂点の次数の総和は辺の本数の2倍であるから,x+y は偶数である。y は明らかに偶数なので,x も偶数でなければならない。x は奇数の和であるので,それが偶数になるには偶数個の奇数が必要である。従って,奇頂点は偶数個ある。

[解説]
 辺の本数に関する数学的帰納法を用いて証明することもできる。任意の辺の両端点が,両方とも奇頂点の場合,両方とも偶頂点の場合,および,奇頂点と偶頂点の場合の3つの分けて説明すればよい。
 具体的な例を挙げていくら説明しても,一般的な証明にはならない。
 また,背理法を用いる場合,“奇頂点は必ず偶数個である”の否定を“奇頂点は必ず奇数個である”としてしまうと,奇頂点が偶数個ある例を一つあげて,矛盾が導かれる。しかしながら,“奇頂点は必ず偶数個である”の否定は“奇頂点が奇数個の場合がある”となる。


3.[問題のグラフはピーターセングラフと名付けられているもの。このグラフについては第7回の講義に載せてある。]
[解答]
(1) このグラフの直径は2
(2) このグラフの染色数は3
(3) このグラフは平面的グラフではないことの証明
 このグラフは K3,3 と同相な部分グラフを含む。(どのようにすればよいかは,第7回の講義にある。)従って,クラトフスキーの定理からこのグラフは非平面的である。
[別解]
 このグラフが平面的であると仮定すると,オイラーの公式から領域数は 7 となる。また,このグラフには長さが 4 以下の閉路は存在しないので,領域の次数は 5 以上である。従って,辺の本数 15 と領域の次数の関係から 2×15 = Σdeg(ri) ≧ 5×7 となり,これは矛盾である。

[解説]
 このグラフは K5 に形が似ているので,K5 に同相であると答えている人が何人かいた。同相の定義をもう一度思い出してほしい。また,実際に K3,3 と同相な部分グラフを含むことを確認しておいて欲しい。


4.
 (1) C(7,0) = 7!/(7!×0!) = 1[半分近くの人が 0 と答えていた。]
 (2) P(10,3) = 10×9×8 = 720[何人かは C(10,3) を計算していた。]
 (3) C(4,1)+2C(4,2)+3C(4,3)+4C(4,4) = 32
 (4) C(7,3)×C(4,2)×C(2,2) = 210


5.(重複順列の典型的な問題!)
 (1) HTTP 4!/(2!) = 12
 (2) QUEUE 5!/(2!×2!) = 30


6.
 (1) C(8,5) = 56
 (2) C(4,3)×(6,4) = 60 
 (3) C(4,2)×C(6,5)+C(4,3)×C(6,4)+C(4,4)×C(6,3) = 116
[(3) の別解]C(10,7)−C(4,1)×C(6,6) = 116


7.経過は8通り。樹形図らしきものを下に書く。
 3→6→9→ [12]
     └→7→ [10]
       └→ [5]
   └→4→7→ [10]
       └→ [5]
     └→2→ [5]
       └→ [0]
 └→ [1]


Last modified: Wed Jul 24 17:53:42 JST 2002