[第2回演習]

-グラフ理論1-


1.グラフ G(V, E) について。次の問に答えよ。ただし,V = {A, B, C, D, E, F}, E = {{A,B}, {A,D}, {B,E}, {B,F}, {C,F}, {D,E}} である。(このグラフを図に描いてから考えてください。)

(1) 頂点 A と C の距離 d(A, C) はいくらか。
【解答】
 d(A, C) は,頂点 A から C への最短の道の長さである。そのような最短道は,頂点の列 (A, B, F, C) で表され,この道には3つの辺が含まれているので,d(A, C) = 3 である。

(2) このグラフの直径を求めよ。
【解答】
 直径は,このグラフ上の任意の2頂点間の距離の最大値である。最も距離が大きくなる2頂点の片方は頂点 C となることは分かる。頂点 C から他の頂点への距離を調べると,d(C, D) = 4 が最大となる。よって,このグラフの直径は 4 である。

(3) このグラフに切断点はあるか。もしあればすべての切断点を列挙せよ。なければ『なし』と答えよ。
【解答】
 切断点は B と F の2つ。C は切断点ではないことに注意せよ。

(4) このグラフはオイラーグラフか? また,ハミルトングラフか?
【解答】
 次数が奇数である頂点(奇頂点という)が B と C の2個あるので,オイラーグラフではない。(周回可能小道はあるが,閉じていないのでオイラー小道ではない。)
 また,頂点 C は次数が1であるので C を通るような閉路(閉じた道なので,その通り道の次数は2以上でないといけない)は存在しない。従って,ハミルトン閉路は存在しない。つまりハミルトングラフでもない。
[頂点 C を通る閉路がないのだから,もちろんオイラー小道がないということもできる。]

(5) このグラフは2部グラフか?
【解答】
 2部グラフである。頂点 A,E および F を左側に書き,残りの頂点を右側に書けば,すべての辺は左側の頂点と右側の頂点を結ぶことになる。

(6) このグラフから何本かの辺を除去して木にするには,何本を除去すればよいか。
【解答】
 1本を除去すれば木になる。ただし,辺 {A,B},{B,C},{C,D} または {D,A} のいずれかを除去すると木になるが,これ以外の辺を除去しても木にはならない。つまり,このグラフに閉路がなくなるように辺を除去しなくてはならない。


2.グラフ G が与えられているとする。G の補グラフ G' は,G と同じ頂点集合をもち,G において2頂点 u と v の間に辺が存在しないとき,かつそのときに限り,G' において u と v の間に辺が存在するようにしてできるグラフである。次の問に答えよ。

(1) グラフ G(V, E) の補グラフ G' を書け。ただし,V = {A, B, C, D, E}, E = {{A,C}, {B,D}, {B,E}, {C,D}, {D,E}} である。(このグラフを図に描いてから考えてください。)
【解答】
 補グラフ G' の辺集合 E' は E' = {{A,B}, {A,D}, {A,E}, {B,C}, {C,E}} となる。

(2) 上のグラフ G の隣接行列 A およびその補グラフ G' の隣接行列 A' を完成せよ。
【解答】... 行列は,いつものように書く。
 A = [ 0 0 1 0 0 | 0 0 0 1 1 | 1 0 0 1 0 | 0 1 1 0 1 | 0 1 0 1 0 ]
 A' = [ 0 1 0 1 1 | 1 0 1 0 0 | 0 1 0 0 1 | 1 0 0 0 0 | 1 0 1 0 0 ]

(3) 頂点数4のグラフ G で,G と G' が同形であるようなグラフを書け。
【解答】
 長さ3の道。(図 5-26 の (d) のグラフ)
『練習問題:頂点数5のグラフ G で,G と G' が同形であるようなグラフは2種類ある。考えてみよ。また,頂点数6や7の場合はどうかも考えよ。』

(4) 頂点数8のグラフ G で,G と G' が同形であるとすれば,このグラフ G には辺が何本あるか。
【解答】
 辺が n 本あるとすると,G' にも n 本ある。これらの和 2n は頂点数8の完全グラフの辺の本数 8×(8−1)/2 = 28 に等しい。すなわち,2n = 28 であるから,n = 14 である。


Last modified: Mon Jul 8 07:03:37 JST 2002